2011年12月17日 (土)

山本志のぶ「木の葉」ブログ引っ越しのお知らせ

ブログを引っ越しいたしました。

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今後とも引き続きご愛読よろしくお願いいたします。

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2011年12月10日 (土)

山本志のぶ「木の葉」ブログ
コールセンター応援歌
第72回  アウトバウンドへの取り組み⑥
電話をかける際の心がまえ

以前、ホスピタリティシリーズで、スカンジナビア航空ヤン・カールソンによる経営革新のポイントとして〝真実の瞬間(15秒)〟について触れましたが、この発想は、どうやら営業マンの電話術にも共通じるようです。以下に、電話における秒単位、分単位の記述を集めましたので、電話をかける際の心がまえの一環としてご覧いただければと思います。

電話営業で初めの15秒は〝真実の瞬間〟 そして3分以内の終話を心がける
目指す相手が電話を取ってから15秒以内に「自分はだれか」「なぜ電話をかけているか」を分かってもらう。
この15秒間で、商談が成功するかどうかが決まるといってよい。
できるだけ簡潔(できれば3分以内)に終える。それで済まない話は、FAX→手紙→訪問の手順で考える(※1)

●FAXの話が出てまいりましたので、ここで注釈です。
もしも、電話を切られそうになったら・・・
「資料だけでも送らせてください。電話とFAX番号は同じですか?」と必ず聞く。10中2人や3人は必ず教えてくれるそうです。(※2)
これだけの確率があったら、ダメもとでトライしてみる価値がありますね。

●BtoBでは、かけている電話を〝重要な案件〟と思ってもらえるかどうかが、成否の分かれ目になります。相手に〝重要な案件〟の印象を与えるためには
①「御社の×××の件で・・・・・」と目的を具体的に相手側に伝える
②低い声で話す
③ゆっくり話す
④権威を示唆する
⑤「本日は大変重要なお話で・・・・・」と愚直に告げる
以上がポイントになります(※3)。次に紹介するのはこのポイントの①と⑤を的確に押さえたトーク例です。

10秒(かな文字で60字前後)で何を言うかが重要だとも・・・
トーク例:「お世話になります。○○社の田中と申します。△△様に現在ご利用いただいている××(サービス名)のサポート業務について重要なお知らせがございます。30秒ほどで説明が終わりますが、よろしいでしょうか?」
このトークには、お客が耳を傾けたくなる3つのキーワード含まれています。
①「現在ご利用いただいている××(サービス名)」:自分に関係があること
②「重要なお知らせ」:聞き逃してはならないニュースがある
③「30秒ほどで説明が終わります」:時間をとられることがない
このように、最初のトークを徹底的に練り上げることが重要なのです。(※4)

●このトーク例は、かな文字で85字前後(会社名、個人名、製品名などで文字数の変化あり)です。普通に話す速さですと10秒で60かな文字ですので、このケースでは15秒くらいになり、冒頭の〝真実の瞬間(15秒)〟にも合致しています。
なお、名著『ステーキを売るな! シズルを売れ!』の著者E・ホイラーは、広告コピーの最初の10語(日本語では15~20語に相当)は、それに続く1万語より重要であるといっています。トークの作成に際しては、この指摘を忘れないようにしたいですね。

●参考までに記しますと、『ステーキを売るな! シズルを売れ!』の意味するところは、縁日の屋台で、パタパタとウチワで匂いを撒き散らせながら商売をする、焼き鳥屋さんや、街中のうなぎ屋さん方式が、最も商品の魅力を引き出す商法だと教えてくれている本のようです。74年も前に出版されたそうですが、食に関する感性は、時代は移っても、何ら変わるところがないように思えます。

役員へは最初の25秒のトークが勝負 組み立ても通常とは異なる
これまで書いてきたのは、一般的なアプローチ例ですが、これが決定権を持つ社長や役員に対してだとニュアンスが変わってきます。この場合は、通常とは逆で、絶対に電話で具体的なヒアリングから仕掛けてはいけないようです。「25秒で」電話の趣旨を相手に理解してもらうことがポイントになります。
「25秒」後に相手から反応がなければ、それは主旨が伝わっていないので、フレーズをもう一度練り直す必要があります。伝わった場合は、相手から質問が他社導入事例となる場合が多いようです。(※3)

●役員や社長に対してのこのケースは、ITベンチャーの経営者が、たまたまエレベーターで遭遇した投資ファンドの運営者に30秒以内で自身のビジネスについて語れなくては成功はおぼつかないとの「エレベーターピッチ」の例に似ていますね。

※1:『一本の電話で売り上げを伸ばす法』(石井孝尚著/中経出版)
※2:『10秒で決める テレアポ&電話営業術』(浅野哲著/フォレスト出版)
※3:『法人営業バイブル』(大塚寿&井坂智博共著/PHP研究所)
※4:『ダントツに売る アポ取りの達人 【実践編】』(濱田昇著/ぱる出版)

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2011年12月 3日 (土)

山本志のぶ「木の葉」ブログ
コールセンター応援歌
第71回  アウトバウンドへの取り組み⑤
電話をかけるタイミング BtoB編 

BtoBのターゲットは、ご担当者(管理職に対象を絞っている場合も)、部門責任者、担当取締役、そして中堅企業以下の場合は、直接社長につないでもらうこともあるでしょう。それぞれの立場、部署によってつながるタイミングは異なります。前回のBtoC同様、プロの見解を何通りか紹介し、実践で役立てていただければと思います。最初は、人間の心理に関するアメリカの研究です。

時間帯と説得効果の研究から、「説得するなら、お昼から夕方くらいまでに」 
1977年、アメリカのある科学雑誌にユニークな論文が発表されました。心理学者スコルニックのデータによると、まったく同じ依頼をするのでも、時間帯によって承諾率に差が見られたそうです。大まかな傾向としては、「午前中の早い時間、および夜の説得は難しく、説得が一番うまくいく時間帯は、お昼から夕方位までである」と。これによると2時~4時位までが、何かを頼むのに絶好の時間帯なのだそうです。(※1)

会社の部課長以上への電話セールスは〝正午から午後5時半〟が狙い目!(※2)
午前8時30分~9時30分:社内の打ち合わせや会議で忙しい時間帯。この時間は本人に電話をかけるというよりも秘書や社内の連絡者に、伝言を依頼しておくというのに理想的な時間帯。こちらの要件が相手に早く伝えられる可能性が高い。
正午~1時:昼食の時間帯で、外出していることが多い。私用はこの時間帯なので電話での会話がスムースに進むことが多い。

午後1時半~3時:最も活動的になり、電話も多いが、要件を進んで処理しようという意欲に燃えており、仕事の電話も積極的に応じようとする時間帯で、効果的。
午後4時~5時半:仕事がマンネリになったり、疲労がたまっているとき。仕事のテンポを変えたいとか、リラックスしたいという気持ちが高まっている。気分を変える意味での電話の会話は、時には社交的なコーヒー・ブレークを意味することもある。約束を取り決めたり、訪問の打ち合わせをしたりするのにも効果的な時間帯。

●上記2例は出典が異なり、ビジネスの現場も日米と分かれますが、いずれも狙い目の時間帯が〝正午から5時まで〟と一緒でした。ここまで符合すると、信じられる気がしてきますね。さて、次はターゲットごとのゴールデンタイムを見てみることにいたしましょう。こちらも、多彩な職種について触れてくれていますので、大いに参考になるのではないでしょうか。

ゴールデンタイムはターゲットによってこんなに違う(※3)
社長や役職者の場合:月曜日の朝は在社している確率が高い。朝早く出社しているので9時前はゴールデンタイム。その代わり日中は不在が多いので、デットタイム。
営業職:朝に準備して、日中は得意先周り、夕方から夜に会社に戻る。朝の2時間と夕方の2時間がゴールデンタイム。日中はデットタイム。
総務・人事:午前中は忙しい。お昼の休憩時間に電話すると嫌がる人が多いので要注意。ゴールデンタイムはお昼からの日中。
秘書:午前中はスケジュール調整業務のため、昼過ぎ辺りが狙い目。
建設業:午前中早い時間と夕方がゴールデンタイム(社長も現場に出ていることが多い)。日中は事務員中心なのでデットタイム。
飲食業:午前中の早い時間と14時からの2時間がゴールデンタイム。

●最近はテレマーケティングに関する出版が少なく、寂しい思いをしておりましたが、久しぶりに『テレアポの鉄則! 売り上げを3倍以上にする営業電話術(2011年5月刊:※4)』という良い本に出会いました。電話営業をなさる方やコールセンターでアウトバウンドをなさる方にはお勧めです。その中から、一部を紹介して、BtoC・BtoBと続いた電話をかけるタイミング編を終わります。

〝曜日のツボ〟を押さえたアプローチ例 人が避けるタイミングこそ狙い目!
「月曜日は「週明けで忙しいだろう」と、多くの人が月曜日に電話するのを避けたがる。指導する側もそのように言う人を見かけるが、私の経験では、月曜日の朝イチは、意外にもアポイントや契約がよく取れていた。理由は2つ。
まず他の営業マンが電話を避けたがるので、逆に穴場であること。そして月曜日の午前中はやる気満々モードの人が多く、決断も早い。つまり、相手のやる気に便乗できれば、即断即決でアポイントや契約が取れてしまう。」

〝時間帯のツボ〟を押さえたアプローチ例 人間の脳の働きに着目!
「午前中以外のテレアポチャンスタイムは午後12時半から午後1時半までの1時間。
人間は目覚めてから6時間後くらいが、最も脳が働きます。つまり、朝6時半から7時半に起きる人が6時間後を迎える時間帯ということ。この『頭の回転がいいとき』と『午後の仕事に向かって気の入っているとき』という2つのタイミングが重なる午後1時くらいが、テレアポ営業の絶好の勝負タイムといえる。」

※1:『「説得上手」の科学』(内藤誼人著/日本経済新聞社)
※2:『電話と手紙の心理学』(浅野八郎著/日本実業出版)
※3:『電話嫌いな人ほど成功するテレアポ』(尾島弘一著/現代書林)
※4:『テレアポの鉄則!』(北原千園実著/アスペクト)

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2011年11月26日 (土)

山本志のぶ「木の葉」ブログ
コールセンター応援歌
第70回  アウトバウンドへの取り組み④
電話をかけるタイミング BtoC編

BtoBとBtoCを語る場合、対象の違いとは別に、もうひとつ忘れてはならないのが、ターゲットに対して電話をかけるタイミングです。コールセンターの場合、個人の意志で時間帯を調整することは難しいケースの方が多いでしょうが、それぞれのゴールデンタイムを知っておくことは、(その時間帯に有力層に集中するなど)マイナスにはならないでしょう。
まずは、BtoCからはじめますが、中小企業経営者や、医師・弁護士などは、その業務特性からBtoCのターゲットとして取り上げることにいたします。

主婦に電話をかけるタイミング 電話による消耗品の注文総数比率(※1)
 8時30分~ 9時30分   9%   
 9時30分~10時30分  21%  
10時30分~11時30分  21%  
11時30分~12時30分  10%  
12時30分~13時30分  10%  
13時30分~14時30分   8%  
14時30分~15時30分   8%  
15時30分~16時30分   8%  
16時30分~17時30分   5%   

●上記例では、9時30分~11時30分までが主婦のゴールデンタイムということになります。この見解に対し、少しでも早い方がつながりやすいとする次の意見もあります。「主婦は家事がひと段落つく午前9時半くらいが狙い目。それを過ぎると外出する人も増えるので要注意。夕方4時以降は在宅率は高いが、夕飯の準備などに追われ、きちんと話を聞いてもらえないケースが増えてくる。この場合、夜8時過ぎにかけ直すほうがいい場合もある。」(※2)

ダイエット食品会社が20~40代地方在住女性をターゲットにした際の接続率
     9~11時台  12~14時台  15~17時台  18~20時台
20代   15.1%    19.1%     ②20.1%   ①40.2%   
30代  ②33.8%    20.5%      22.4%   ①41.5%
40代   30.4%    29.1%     ②35.1%   ①39.8%
(注)太字は最も高い数値①を示し、②は4つの時間帯で2番目を示す。

このデータから読み取れるのは、各年代とも18~20時台が一番接続率が高いが、30代では子育ての関係からか午前中の接続率も高く、40代になるとほぼ全時間帯とも接続率があまり変わらない。)
なお、主婦以外のターゲットを自宅で呼び出すタイミングは以下の通り。(※3)
 9~16時:高齢者層 
16~18時:学生 
18~20時:OL、サラリーマン

各種消費者用物資の曜日別(日曜日は有力だがここでは除く)注文率(※1)
日曜日と夕方の時間(特に午後6時から9時まで)は、各種の消費者用物資の販売促進に向いている。特に、低収入層や中流階級への売り込みに効果的。工場労働者、小売商店の従業員、サラリーマンや役人や、教師などが、こういったグループに属する。
日曜日を除く6日間の電話による注文件数比率は以下の通り。
月曜日 25%、火曜日 20%、水曜日 15%、
木曜日 18%、金曜日 15%、土曜日  7%

職業別効果的時間帯(アメリカのデータから、経営者は中小企業が対象:※4)
医師     9~11時・13~15時 
歯科医   9時30分以前           弁護士  15~17時
看護師    19~21時             薬剤師  13~15時 
経営者    10時30分以前         官吏     14~17時 
食料雑貨商13~15時          小売商   10時30分以前
新聞記者  14~17時           出版業者 15時以降 
学校の先生7~9時(自宅)       株式仲買人10時以前

●主婦の時間帯はわかりやすいですが、ダイエット食品会社が20~40代地方在住女性をターゲットにした際の接続率を見ると、地方でもかなり女性の就業率が高いことがわかります。主婦と比較すると、やはり職場内個人は、職種、業種、地位によって在席時間帯がかなり違いますので、アプローチにはかなり神経を使わなければならないでしょう。データを細かく分析し、知恵を絞っても結果につながらないのでは、やる気を失ってしまいますが、正しい努力には、それなりの成果が伴うようです。そのような具体例が次回登場しますので、お楽しみに・・・。

※1:『電話販売術』(メリル・デボー著/河出書房新社)
※2:『テレアポの鉄則!』(北原千園実著/アスペクト)
※3:『アウトバウンドの本』(トランスコスモス編/リックテレコム)
※4:『一本の電話で売り上げを伸ばす法』(石井孝尚著/中経出版)

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2011年11月19日 (土)

山本志のぶ「木の葉」ブログ
コールセンター応援歌
第69回  アウトバウンドへの取り組み③
BtoBとBtoCの違いとBtoBアポ取り実践例

コールセンターでインバウンドからアウトバウンドへのオペレーション・スタッフの配置転換は、その業務内容の違いからなかなかうまくいきません。また、同じアウトバウンド業務でもBtoB(ビジネスtoビジネス)とBtoC(ビジネスtoカスタマー)も、求められるトーク・スキルが異なりますので、安直な取り組みはリスクを伴います。今回はこの違いから入り、次に、BtoBテレマの大変興味深い実践例を紹介いたします。

BtoB(ビジネスtoビジネス)とBtoC(ビジネスtoカスタマー)の違い
①購入者と購買動機
BtoB市場:モノとしての価値に加えて、どのような使い方をするかという顧客企業側の使用特性や、何のために使用されるのかという製品の用途に対する考慮をして企業が購入。
BtoC市場:財やサービスを気に入って個人が購入(感性に働きかける製品・サービスが好まれる)。

②購入動機は「合理性か、感情か」
BtoB市場:顧客企業の意思決定に関連する理性や、製品・サービスの合理性(機能性)に重点が置かれる(企業が製品・サービス、そしてブランドの知名度などを総合的に評価して選ぶのが普通)。
BtoC市場:一般消費者の嗜好をはじめとする感情的な購買動機に重点が置かれる(顧客の感性やライフスタイル、価値観に訴えて共感を得る)。(※1)

●上記からBtoBのアウトバウンドでは、理性(どちらかといえば左脳)への訴えかけ(相手を納得させるだけの商品知識、相手先企業にとってのメリット、そして競合他社との品質・サービス比較など)が、BtoCでは、感性(どちらかといえば右脳)への訴えかけ(決定権者と話すことが多く、発信者第一印象を良くするトークスキルなど)が、ポイントとなりそうです。

ワークライフバランスのパイオニア・小室淑恵さんのアウトバウンド体験記
最近、とみにマスコミの露出度の高い小室淑恵さん(ワーク・ライフバランス代表取締役)は、学生時代にインターネットを勉強するために社長とSE2人のITベンチャー企業にインターンした経験がありました。ここでの、生まれてはじめてのアポ取り経験がご著書(※2)に書かれています。アウトバウンドで成果を上げるための秘訣満載ですので、以下に紹介いたします。

インターネット勉強目的のインターン先で、最初の仕事は〝アポ取り〟だった
「これは私の仕事じゃない」と思いつつ営業のアポ取りをはじめた。実際にやってみるとこれが難しい。売っていたサービスは大きな宴会場を持つホテルに、Webで見積もりと予約がとれるシステムの売り込み。
電話帳を片っ端からホテルに電話。横の社長は同じようなセールストークでどんどんアポを取るが、自分は全く取れない。社長は別に話し方がうまいわけではないが、相手の話に相槌を打っているうちにちゃんと面談の予約を取り付ける。

スクリプトは同じでも、社長と小室さんのアポ取り成果には天と地の差が!
「私と社長の営業トーク、何が違うんだろう?」
目の前の仕事をバカにしている場合ではなく、「この仕事でまずは実績を上げないと!」と気持ちを切り替えた。それからは、電話するたびに、うまくいっても失敗しても、その理由を考えながら自分なりに工夫していった。

商品理解が不可欠に気づき劇的変化! わずか一月で、社内のアポ取り名人に
しばらくして気がついたのは、売っているサービスの内容理解がまったく足りていなかったこと。この商品はどう素晴らしいのか、自分が実感してないものは電話の向こう側の相手にもそれが通じるのか、興味を持ってもらえない。そこで商品の内容を徹底的に理解できるまで、社内のSEさんを質問責めにして知識を増やした。

「こんなすごいものを、この小さなベンチャー企業が作っているなんてすごい!」
心から商品の素晴らしさを感動しながら電話すると、やはり相手も興味を持って聞いてくれる。また、同じ説明をしているつもりでも、話の順番や力点の置き方、相手との間合いの取り方を少し変えるだけで、反応が変わることに気付き、注意深く相手の反応を聞き逃さないようにしながら話した。
すると徐々にアポが取れるようになり、1カ月もすると社内で「アポ取り名人」と呼ばれるくらいになった。

●さすがに、その後ビジネスの世界で大成される方は、その取り組み姿勢が違いますね。小室さんは、アポ取りで成果を出し、社長から営業を学び、その夏一人で100社以上に営業訪問し、90%近い成約を達成したそうです。そして、インターン9カ月目には、念願の女性サイトの企画の仕事もさせてもらえるようになったとのこと。

※1:『B2Bマーケティング』(パチェンティ・J・チェザレ著/ダイヤモンド社)
※2:『キャリアも恋も手に入れる』(小室淑恵著/ダイヤモンド社)

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2011年11月12日 (土)

山本志のぶ「木の葉」ブログ
コールセンター応援歌
第68回  アウトバウンドへの取り組み②
アウトバウンドの種類

10年ほど前に出版された『はじめてのテレマーケティング』(※1)に、都市銀行をモデルとした「テレマーケティング15のパターン」があります。銀行のコールセンターから「見込客」「新規客」「継続客」「固定客」対してなされる各種のアプローチが体系的にまとめられています。銀行は私たちにとってきわめて身近な存在であり、アウトバウンド業務を理解する上では恰好の素材といえるでしょう。

新規獲得型」から「案内型」まで、アウトバウンドテレマ15のパターン
その15パターンは【獲得型】【継続型】【御礼型】【案内型】【キャンペーン型】【PR型】【掘り起こし型】【調査型】【問い合わせ型】【サービス型】【商品提案型】【セールスサポート型】【組み合わせ型】【併用型】【時系列型】となります。それぞれの対象商品を付記し、関連エピソードを加えながら順番に紹介してまいります。

①【獲得型】対象商品orサービス:給料振込・賞与振込・公共料金・年金受給窓口
②【継続型】対象商品orサービス:定期預金満期通知
③【御礼型】対象商品orサービス:新規口座・年金受給口座・他多数
④【案内型】対象商品orサービス:年金相談会・貸金庫・イベント・クラブ・新設店
⑤【キャンペーン型】対象商品orサービス:ボーナス・無担保ローン

DMとフォローテレマのメディアミックスは単発より10倍も効果的!
【獲得型】エピソード:オクラホマ州タルサにあるソフトウェア会社では、電話の前に、あらかじめセールスレター(DM)を送っておくと、いきなり電話するよりも10倍も効果があり、この方式で売り上げが9倍になったとのこと(※2)。

【継続型】エピソード:米国のマーケティグの世界では、新規顧客の開拓には既存顧客を継続するのに比べ5~10倍コストがかかるといわれているようです。電話1本で、満期の預金が継続されるのであれれば、アウトのコストは十分ペイしそうです。

⑥【PR型】対象商品orサービス:財務サロン・相談窓口新設・美術館新設・その他
⑦【掘り起こし型】対象商品orサービス:カード未使用層・睡眠口座
⑧【調査型】対象商品orサービス:意志確認・本人確認・アンケート
⑨【問い合わせ型】対象商品orサービス:情報不備・コールバック
⑩【サービス型】対象商品orサービス:情報提供・資料提

【掘り起こし型】エピソード:継続率を高めることは、あらゆるビジネスで経営効率を高めますが、その中でもカードは特別のようです。ある米国のクレジット会社は、業界での平均的なクレジットカードの非継続率10%を5%に改善したところ、同社の利益は16倍に伸びるという驚くべき成果をあげたとのこと。(※3)

サービス型】エピソード:下記①~⑤のケースではアポを取りが特に有効なようです。都市銀行はエリア集約型でもあり、正にこの事例に相当しますね。(※4)
①会社に知名度があり、お客様になるターゲットが広い
②冊子プレゼントや無料相談などの特典がある
③会えば成約できるくらい営業力が強い
④近くに得意先があるので定期訪問が可能
⑤面談データを収集するだけでも見込み客として育てられるシステムがある

⑪【商品提案型】対象商品orサービス:商品提案・切換提案
⑫【セールスサポート型】対象商品orサービス:営業店渉外支援
⑬【組み合わせ型】対象商品orサービス:商品同士の組み合わせ
⑭【併用型】対象商品orサービス:DMと併用
⑮【時系列型】対象商品orサービス:提案時期とタイミング

クロスセル(関連商品併売)/アップセル(上位品への買換え)で大幅収益改善
【商品提案型】エピソード:米国のクレジットカード業界大手CAP ITAL ONEが3300万人の顧客への金融商品のクロスセル/アップセルを目的としたアウトバウンドを最適化モデル(マーケティング諸要因を独自に組み合わせる)に基づき実施したところ、同社は実施前に比べ顧客のLTV(顧客生涯価値)を実に11%改善し、驚異的な収益貢献を果たしたそうです。(※5)

●以上、都市銀行のアウトバウンドと、実際のアウトバウンド業務の成功事例をエピソードとして紹介しました(金融業にはこのほかに債権回収目的の督促業務がある)が、さすがにカバー領域が広く、ほぼ他業種の業務内容も網羅していると思います。
さて、次回から2回はアウトバウンドテレマにおける、BtoB(法人対象)とBtoC(個人対象)の違いについて私なりの見解を述べたいと思います。

※1:『はじめてのテレマーケティング』(鈴木伊佐男著/近代セールス社)
※2:『ハイパワー・マーケティング』(J・エイブラハム著/インデックス・Com)
※3:『エモーショナル・バリュー』(J・バーロウ&D・モール著/生産性出版)
※4:『電話嫌いな人ほど成功するテレアポ』(尾島弘一著/現代書林)
※5:『アウトバウンドの本』(トランスコスモス編/リックテレコム)

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2011年11月 5日 (土)

山本志のぶ「木の葉」ブログ
コールセンター応援歌
第67回 アウトバウンドへの取り組み①
アウトバウンドとは

本ブログは、「コールセンター応援歌」と「研修シリーズ」の2部構成となっておりますが、「コールセンター応援歌」で〝アウトバウンド(発信)〟を取り上げて欲しいとの声が2週間ほど前にありました。そこで、早速ご要望に応え、コールセンターで行うアウトバウンドについて、私なりに工夫したものを書いてみようと思います。

アウトバウンドは、その取扱商品(製品)やサービス内容によってトークが大きく異なり、また、BtoB(ビジネスtoビジネス)とBtoC(ビジネスtoカスタマー)によってもその対応が異なります。こうした背景から、なかなか一般論では通じないとの思いがあり(私の実力不足もありますが…)、これまで掲載を見合わせてきたところがございます。本シリーズの1回目は、まずこの辺りから入ります。

インバウンド(受信業務)と、アウトバウンド(発信業務)の違い
研修シリーズ第76回に「なでしこジャパンに学ぶコーチング」で、澤穂希さんの前のキャプテンだった池田浩美(旧姓磯崎)さんが佐々木則夫監督に対して行ったアドバイス的コーチング「監督、ケガで合宿をリタイアする選手を見送らなきゃだめですよ」についてに触れましたが、彼女の書いた『荒地に花が咲く』の中に、インとアウトの違いを理解する上で、助けとなる恰好の文章がありました。

「小さなミスが命取りのDF」と「1本決めれば10のミスが帳消しのFW 」
「小さなミスが命取りになるポジション、それがDF(ディフェンダー)です。
FW(フォワード)は10本シュートを打って、1本でもゴールを決めれば褒められます。しかし、DFの場合は10本のシュートを跳ね返しても、1本決められればボロくそに言われる、割に合わないポジションです。」

●研修でもこのフレーズをよく使うのですが、ミスをしたら〝クレーム〟になったり、〝お客様を失う〟リスクを伴うのがインバウンド。ミスが許されないという点で、サッカーにたとえるならのDFに該当するでしょう。これとは別に、100件電話して数件アポが取れればOK的なアウトバンドは、10本のうち1本シュートが決まれば〝よくやった〟といわれるFWに似ているのではないでしょうか。

〝アウトバウンド〟と〝インバウンド〟は、似て非なるもの
ある本の中に「インバウンドのコールセンターというのは、消費者からかかってくる電話に応えるのが仕事である。一方テレ・セールスやテレ・マーケティングのように、こちらから相手に電話をかけるのがアウトバウンドで、一般にマニュアル通り話せばいいアウトバウンドより、さまざまな質問に答えなければならないインバウンドのほうが、従業員に要求されるレベルは高いといわれている。(※1)」とありましたが、私は、この二つは〝似て非なるもの〟で、その難易度は比較できないと思います。

コールセンタースタッフに澤穂希選手のような〝両刀遣い〟はあまりいない
澤選手は代表選手としての得点(ゴール)が、あの伝説といわれた釜本邦茂さんをW杯で抜いたように、もともとは攻撃的な選手だったそうですが、佐々木監督の判断で北京オリンピックのころからDFに転向したそうです。彼女の豊富な運動量と的確な戦況判断がW杯優勝に導いたことは記憶に新しいところです。

しかし、多くのコールセンターを見渡しても(60%位のセンターがインバウンドとアウトバウンドの両方を手がけている)、澤選手のようなどちらにも傑出した存在は、ほとんど見当たりません。それは、サッカーのDFとFWのように役割が異なり、適性として求められる資質に大きな違いがあるからなのでしょう。

電話活用では〝インバウンド〟より〝アウトバウンド〟の方が歴史が古い
テレアポ電話営業というビジネスモデルは、電話が普及し始めた1960年代、広大な国土を持つアメリカで生まれました。きっかけとなったのは百科辞典の訪問販売だそうで、ずっしりと重い百科辞典を持ち運んで売り歩いていた営業マンが、「何かいい方法はないか?」と考えた結果、前もって電話でお客様に興味があるかどうか確認してから、実際に商品を見てもらおうという営業スタイルを確立させました。日本に電話営業というビジネスモデルが導入され始めたのは、1970年代初頭ビジネスマン向けの自己啓発教材からだそうです。(※3)

1962年、フォードは大々的に〝アウトバウンド〟をキャンペーンに使った
このキャンペーンでは2000万人に対し調査形式の電話のアプローチがなされました。その結果、18万7千件が6ヶ月以内の有力見込み客であることが判明しました。有力情報が販売店に即刻報告されたため、電話した当日の契約も444台ありました。販売実績は9日後には7773台に達したそうです。このキャンペーによる販売コストは1台当たり65ドル(当時)で、他の拡販計画のコストよりはるかに低く、その後のテレマーケティング時代の幕を開くきっかけとなりました。(※4)

※1:『スローキャリア』(高橋俊介著/PHP研究所)
※2:『B2Bマーケティング』(パチェンティ・J・チェザレ著/ダイヤモンド社)
※3:『テレアポの鉄則!』(北原千園実著/アスペクト)
※4:『テレフォン・マーケティング』(マリイ・ローマン著/ダイヤモンド社)

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2011年10月29日 (土)

山本志のぶ「木の葉」ブログ
研修シリーズ
第82回 プレゼンテーション研修から
追悼! 世界一のプレゼンター『スティーブ・ジョブズ』②

宿命のライバルともいえるスティーブ・ジョブズとビル・ゲイツの若き日の関係は、映画『バトル・オブ・シリコンバレー』に詳しいですが、プレゼンターとしての比較もたいへん興味深いものがあります。マイクロソフト社のソフトを主にPCメーカーに売る(BtoB)立場と、製品とソフトを消費者に売る(BtoC)アップル社の立場の違いもありますので、その辺も含んで、偉大な2人の創業者の対比をご覧ください。

スティーブ・ジョブズとビル・ゲイツの2007年プレゼン・トーク比較(※1) 
          スティーブ・ジョブズ    ビル・ゲイツ
        (マックワールド基調講演)   (CES*基調講演)
平均単語数       10.5          21.6
語彙密度        16.5%         21.0%
難解語          2.9%           5.1%
難読指数         5.5           10.7
*CES(Consumer Electronics Show):毎年開催される家電製品中心の展示会

聞きやすさ4項目すべてで スティーブ・ジョブズがビル・ゲイツを上回る
平均単語数:一文(句点「。」で終わるまで)を構成する単語の数。ビル・ゲイツ氏と比較し半分以上短いので、ジョブズ氏の方が歯切れも良く、聞きやすい。
語彙(ごい)密度:文章の読みやすさを示す指標。密度(%)が低いほど分かりやすい。
難解語:文に含まれる4音節以上の単語の数の平均値。%が低いほど理解しやすい。
難解指数:その文章を読んで理解するために必要と考えられる教育年数。ジョブズ氏の5.5は、小学六年生ならわかるレベルであり、一方のゲイツ氏は10.7で高校一年レベルに該当。なお、NYタイムズ紙は11~12(高校二~三年生にあたる)。

ジョブズ氏のプレゼンに欠かせない「3点ルール」ロードマップ
2007年1月9日、「今日アップルが電話を再開発する」のヘッドラインの前に、ジョブズ氏は「今日は革命的な製品を3つ、紹介する」と語り、劇的な効果を高めました。
最初は、タッチコントロールを持つワイドスクリーンのiPodを紹介(ぱらぱらと拍手)。続いて第二の製品は革命的な携帯電話だと紹介(会場から歓声が上がる)。
そして第三の製品は画期的なインターネット機器だと紹介(この後、詳しい説明と3種類の製品のデモか何かに移るのだろうと思い、聴衆はここで気を抜く)。

●しかし、この後に爆弾が用意されていました。ジョブズ氏は続けます。
「つまり、この3つだ。タッチコントロールにおるワイドスクリーンのiPod、革命的な携帯電話、画期的なインターネット機器。iPod、電話、インタネットコミュニケーター。iPod、電話――わからないかい? 3つに分かれているわけじゃないんだ。実はひとつ。iPhoneっていうんだ!」
その瞬間、会場は興奮状態になり、ジョブズ氏は、世界一革新的な会社というアップルの評判をさらに高める製品のプレゼンを成功させました。

ジョブズ氏がプレゼンの際に重視した7つの〝非言語コミュニケーション〟
①アイコンタクト
:ジョブズ氏がしっかりしたアイコンタクトを取れたのは、何週間もプレゼンテーションの練習をしたからでした。ですから、各スライドに何が描かれているのか、スライドごとに何を言ったらいいのかすべてを把握していたのです。
②開いた姿勢:ジョブズ氏は腕組みをめったにしませんでした。姿勢は常に聴衆に向かって開いており、聴衆との障害になりかねない演台は極力使わなかったそうです。
③手ぶり:ジョブズ氏は、両手は体の両脇にたらすべきだとされていたこれまでの慣習(にとらわれることなく、さまざまなしぐさでしゃべりを補強しました。

④抑揚:ジョブズ氏は、声の高さを上げたり下げたりして調子に変化をつけるようにしていました。「信じられない」「すごい」「クール」「大きい」など、ジョブズ氏が好んで使う言葉がありましたが、これらの言葉の調子が他と同じだったら、あれほどのインパクトは生まれなかったでしょう。
⑤間:2008年1月のマックワールドでジョブズ氏は、「今日は、3種類目のノートパソコンを紹介しよう」と言った後、ちょっと間を取ってから、「マックブック・エアだ」と続けました。さらに間を取ってから、「世界で最も薄いノートパソコンだ」とヘッドラインに聴衆の目を転じさせました。この「間」のタイミングが絶妙なのです。

⑥音量:ジョブズ氏がよく用いるパターンは、クライマックスに向けて盛り上げる段階で声を小さくし、最後に大きな声でドンと決めるというものでしたが、ときには、この逆をやることもあったそうです。
⑦スピード:しゃべるスピードも、ジョブズ氏は変化させました。デモのときは普通のスピードで、ヘッドラインやキーメッセージはゆっくりしゃべりました。

●アップル復帰後のジョブズ氏はどのプレゼンテーションにも黒のモックタートル(セントクロイ)、色あせたブルージーンズ(リーバイス501)、白いスニーカー(ニューバランス)で登場しました。今後、私が担当するプレゼン研修では、その雄姿を思い浮かべながら、世界一のプレゼンについて語り継いで行こうと思います。合掌。

※1:『スティーブ・ジョブズ 驚異のプレゼン』(詳細前号記載)

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2011年10月22日 (土)

山本志のぶ「木の葉」ブログ
研修シリーズ
第81回 プレゼンテーション研修から
追悼! 世界一のプレゼンター『スティーブ・ジョブズ』①

スティーブ・ジョブズが2011年10月5 日に、世界中から惜しまれつつ亡くなりました。たまたま偶然ですが、亡くなる前日に「会社説明会でのプレゼンテーションのあり方」をテーマにした研修に登壇していた山本は、スティーブ・ジョブズ氏が、〝世界一のプレゼンター〟であることを、事例を元に解説していました。このような偶然も重なり、いまだショックら立ち直れませんが、遅ればせながら今回と次回、ジョブズ氏のプレゼンの素晴らしさを紹介することで、追悼の意を表したいと思います。

『スティーブ・ジョブズ 神の交渉力』が描いた、そのカリスマ性
ITがあまり得意でない私が、ジョブズ氏のプレゼンターとしてのすごさに最初に触れたのは、研修講師として独立した同時期の2008年6月に出版された『スティーブ・ジョブズ 神の交渉力(※1)』でした。この中に、「スティーブ・ジョブズのプレゼンテーションは、『3分間で100億円を生む』と評される」と書かれていたのです。

〝3分間で100億円を生む〟と評されるジョブズ氏のプレゼンテーション
ⅰPodの販売総計が2200万台を突破するまでに、彼は3回プレゼンを行ったそうです。売上総額をプレゼン時間で割ると、3分間100億円になることから、この表現が使われました。著者の竹内正一氏の言葉を借りれば、このようになります。
「世の中には多くの天才的なパフォーマーがいるが、ジョブズのように、業績や技術などに関する話に2時間も聴衆に身を乗り出させ、聴き惚れさせるエンターテイメントはいない。最後には、感動のあまりのスタンディング・オベレーション(総立ち拍手)が鳴りやまなくなるプレゼンは神技であり、魔法のショーである」

ジョブズ氏に原稿はなく、目線は常に聴衆に向かい、製品と技術を熱く語る
「ジョブズは、数千人の観衆を何時間でも惹きつけ、魅了する術を知っている。アメリカ大統領よりも巧みに、『ここにいてよかった』『今まで以上にすごいことがこれから始まるんだ』と期待させ、興奮させる。
アメリカ大統領といえども、スピーチのときは、専門家が作成した原稿にときどき目を走らせるものだ。しかし、ジョブズに原稿はない。目線は常に聴衆に行く。時には両手を広げ、胸の前で握り、製品と技術を熱く語る」

●ジョブズ氏のプレゼンに対する基本姿勢(単にわかりやすく伝えるだけではダメで、熱意や感動を込めることが大切だ)ということがよくわかりますね。なお、ジョブズ氏のプレゼンにおけるテクニカル部分については、『スティーブ・ジョブズ 驚異のプレゼン』(カーマイン・ガロ著/2010年6月/日経BPマーケティング刊:※2)』に詳しいので、こちらから紹介させていただきます。

ジョブズ氏の声が聞こえてきそうな、タイプの異なる3つのトークから
「メタファーとアナロジー」:「僕にとってコンピューターというのは、人類が考えた最高のツールだ。知性の自転車といったところかな」
「データのドレスアップ」:「今までに売れたiPhoneは400万台。400万台を200日で割ると、1日平均2万台のiPhoneが売れたことになる」
「悪役と正義の味方」:「マイクロソフトが抱えている問題はただひとつ、美的感覚がないことだ。足りないんじゃない。ないんだ。」

プレゼンに重要な表現3例「比喩的表現」「データで語る」「悪役と正義の味方
メタファーとは喩えの一種、アナロジーとは異なる二つを比較することで類似性を際立たせる手法。参加者が各層にまたがる場合、製品(サービス)のイメージが伝わりやすいように、プレゼンには欠かせない要素ですが、上記例は子どもから大人まで、聞く人すべてのハートに入り込む、メタファーでありアナロジーといえるでしょう。

損して得を取り、ライバルを叩くときには徹底的に、が、ジョブズ氏流
あるプレゼンのときの話だそうですが、その新製品は、従来品に比較して速度が2.8倍で価格が半値(キャンペーン)だったとき、ジョブズ氏はIT機器の生命線である速さの0.8倍を捨て、「速度は2倍、価格は半分」の、購買者によりわかりやすい表現の方を選択したそうです。このマーケッター感覚に驚かされます。

●プレゼンに欠かせないストーリー(物語)には、正義の味方が喝采を受けるための悪役の存在が欠かせません。そんな悪役を、ジョブズ氏はとても上手に作りました。敵役(使い勝手の悪い他社製品もしくは自社の既製品)を登場させ、次にヒーロー(日々の暮らしを楽しくしてくれる画期的なアップルの新製品)を登場させるのです。

●敵役(問題)を登場させると、聴衆は主人公(解決策)を応援したくなります。ジョブズ氏はこの古典的な物語の手法を使うことが多かったそうです。世界一のプレゼンターに敵役にされたマイクロソフト(それ以前はIBM)はたまったものではありませんね。次回は、ジョブズの格好の標的とされたマイクロソフトのビル・ゲイツ氏とジョブズ氏のプレゼンテーション比較から、世界一のプレゼンターに迫ります。

※1:『スティーブ・ジョブズ 神の交渉力』(竹内正一著/2008年6月/経済界刊)
※2:『スティーブ・ジョブズ 驚異のプレゼン』(カーマイン・ガロ著/2010年6月/日経BPマーケティング刊)

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2011年10月15日 (土)

山本志のぶ「木の葉」ブログ
研修シリーズ
第80回 採用担当者プレゼンテーション研修から
「桃太郎に学ぶ、物語の紡ぎ方」③
物語の登場人物と構成

あるとき、ソフトバンクの孫正義さんととても親しくしている社長に「孫さんって、どんな人ですか?」と尋ねたところ、「そうね、一緒にいて、まあ90%は彼が話しているかな。でも、その話がとにかく面白い。全部、ストーリーなんだよ」と(※3)。
このお話は、ビジネスシーンでの物語の可能性を端的に示す例ではないでしょうか。

物語のメカニズムの研究は1920年代、ロシアで始まったそうです。民族学者が100編のロシアの魔法民話を分析し、民話が31の「機能」から成り立っていることを発見しました。「機能」とは、場面(シーン)が示す「意味」のことです。(※4)

1950年代に英語に翻訳され、欧米にインパクトを与えました
この民族学者は同時に、登場人物は7人――①敵、②贈与者、③援助者、④王女とその父、⑤委任者、⑥主人公、⑦にせ主人公――に限定される、とも言っています。
この発見は50年代末に英語に翻訳され、一躍、欧米にインパクトをもたらしました。
その後、フランスの記号学者が登場人物の分類をもう少し洗練させ、6人の行為者からなる「行為者モデル」を唱えました。6人の行為者とは①主体、②対象、③敵対者、④援助者、⑤送り手、⑥受け手、です。

6人の行為者からなる「行為モデル」を「桃太郎」にあてはめると
日本の「桃太郎」を例にとれば、「主体」=桃太郎、「援助者」=イヌ、サル、キジ、「敵対者」=鬼、「対象」=宝、「送り手・受け手」=おじいさん・おばあさん、になります。行為者である「対象」が〝宝〟には違和感のある方もおられるでしょうが、専門家によると、「対象」は必ずしも人である必要はなく、「目的」とか「結末の状態」も含めたもう少し広義のもの(※5)だそうですから、問題はなさそうですね。また、一部の「桃太郎」絵本のように、お姫様を救い出し、凱旋後お嫁さんにしたとする結末の場合は、「受け手」は「主人公=桃太郎」ということにもなります。

『桃太郎』を「起承転結」に置き換えると、イヌ、サル、キジは「承・承・承」
童話作家・木村裕一によれば、(物語の)構成は、セオリーがある。簡単に言えば「起・承・承・承・転・結」だ。基本的に、今までやってきて、これが一番つくりやすい。もちろん必ずしもこれがすべてではないが、「起・承・承・承・転・結」の「承・承・承」というところが、おいしいところなのである。
まず、きっかけ(「起」は桃太郎の誕生から出発まで:山本注)がある。そしてイヌ、サル、キジ、の「繰り返し」がある。これが「承・承・承」の部分。そして、転(鬼が島に渡る:同)、結(戦闘と帰郷:同)となる。
繰り返しの中で、ちょっとずつどこかが変わるのがポイントである。(※6)
との分かりやすい解説をしておられます。

●さて、桃太郎シリーズのまとめは、ビジネスシーンでの「物語の可能性」を、そのものずばりのタイトル『事例でわかる物語マーケティング』(※7)から紹介いたします。
1.物語は興味関心を持ちやすくする:親しみやすく/自分のことのような気持ちに
2.物語は感情に訴える:感動を呼び起こす/楽しい時間を提供する
3.物語は理解のレベルを深くする:長期の記憶を/教訓発見/ゴールメージが
4.物語は潜在意識を具現化する:憧れに「形」を/イマジネーションを刺激する
5.物語は行動を誘発する:登場事物の真似を/口コミを促進/消費を活性化させる

●今年(2011年)7月に出た本に(※8)に、「物語が伝える1万2千年前の真実」という興味深いお話が載っていました。それは、オーストラリア南海岸沿いで先住民が語り継いできた物語で、そこにはタスマニア島とオーストラリア本土を隔てるバス海峡の海底地形が驚くほど正確に描写されているのだそうです(かつて陸地だったが、氷河期が終わった1万2千年前に海に沈んだ)。
物語は、このように人々の記憶を後世に伝える偉大な力も併せ持っているのですね。この稿の最後は、米国大統領よりも記憶に残った3人の少年の物語です。

片隅の記事が、同日の米大統領の予算に関する大々的記事よりも記憶された理由
ある日、予算の欠損が予想を70億ドル下回る見込みだとのトルーマン大統領の声明を大々的に報じた新聞の同じ頁の片隅に、犬の足の骨折に副え木をしてやった3人の少年の地方の記事が出ていた。一般の女性なら、トルーマンによりもずっとこの少年たちに身を置き換えるだろう。ある調査によれば、この犬の記事は44%の婦人が覚えていたのに、大統領の声明記事の方はたった8%しか覚えていなかった。(※9)

※1『桃太郎像の変容』(滑川道夫著/東京書籍)
※2『NHK歴史発見8』(NHK歴史発見取材班編/角川書店)
※3『人を動かすコーチの9つの習慣』(鈴木義幸著/講談社)
※4『「物語力」で人を動かせ』(平野日出木著/三笠書房)
※5『物語の体操』(木村英志著/朝日新聞社)
※6『きむら式 童話のつくり方』(木村裕一著/講談社)
※7『事例でわかる物語マーケティング』(山川悟著/能率協会マネジメントセンター)
※8『友達の数は何人?』ロビン・ダンバー著/インターシフト)
※9『創造力を生かす』(アレックス・オズボーン/創元社)
なお、『桃太郎』作品は著者名(敬称略)を都度記載しておりここは割愛します。

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